漢方治療エビデンスレポート
日本東洋医学会EBM委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
14.
泌尿器、生殖器の疾患
(
更年期障害を含む
)
文献
岩淵慎助. キュウ帰膠艾湯による機能性子宮出血の止血効果-西洋薬止血剤との比較 -. 日本東洋医学雑誌 2000; 50: 883-90. 医中誌 Web ID: 2000172969 CiNii
1. 目的
機能性子宮出血に対するキュウ帰膠艾湯の有効性と安全性の評価
2. 研究デザイン
準ランダム化比較試験 (quasi-RCT)
3. セッティング
産婦人科開業医、山形
4. 参加者
機能性子宮出血の200名に割付、解析数は183名
5. 介入
Arm 1: ツムラキュウ帰膠艾湯エキス顆粒投与9.0g×7日投与、100名、解析は93名
Arm 2: トラネキサム酸 (トランサミン3錠) 、カルバゾクロム・VK合剤 (オフタルムK
3錠) ×7日投与、100名、解析は90名
6. 主なアウトカム評価項目
試験的子宮内膜掻爬後、止血までの日数
7. 主な結果
キュウ帰膠艾湯投与群の止血までの日数は4.29±1.54日で、トラネキサム酸、カルバゾ クロム・VK合剤投与群の 5.45±2.13日に比し有意に短縮していた。7日までの止血を 有効例とすると、キュウ帰膠艾湯投与群は有効率 94.6%、トラネキサム酸、カルバゾ クロム・VK合剤投与群の72.2%に比し有意に有効率が高かった。その内訳を見ると虚 証・虚実間証ではキュウ帰膠艾湯投与群が有意に止血までの日数が短かったが、実証 では有意差はなかった。
子宮内膜像では、増殖期と単純型増殖症の場合はキュウ帰膠艾湯投与群が有意に止血 にいたる日数が短縮し、静止期、萎縮期と増殖期分泌期混在と分泌期では有意差はな
かった。
8. 結論
キュウ帰膠艾湯は止血剤トラネキサム酸、カルバゾクロム・VK合剤に比較して機能性 子宮出血の止血に有効。
9. 漢方的考察
投与開始時は行われていないが、投与後に望診と腹診により虚実判定を実施した。証 の検討から虚実に関係なく使用し有効な薬方であると結論された。
10. 論文中の安全性評価
キュウ帰膠艾湯投与群の 32歳の例で、1包服用後に気分不良となり、2包目から胃部 不快感と吐き気を覚えたために、4包服用後中止し他薬に切り替えた1名がいた。
11. Abstractorのコメント
西洋医学でも機能性子宮出血の原因は多様であり、また漢方医学でもその病機は単一
ではない。キュウ帰膠艾湯はその中の衝任虚損という一つの病機に対応した薬物と止 血剤の組み合わせた方剤である (金匱要略) 。この方剤の有効例と無効例の存在は病機 の多様性を示している。本研究は受診順に交互に割付がなされた準ランダム化比較試 験であるがキュウ帰膠艾湯は機能性子宮出血に一定程度の有効性を示唆している。
12. Abstractor and date
岡部哲郎 2007.6.15, 2008.4.1, 2010.6.1